あさのあつこさん著の「バッテリー」
図書館や図書室にも置いてある青春野球小説として有名ですよね。
中学1年生の娘が読書感想文の書籍に選んで、どうにか読み終わったようです。
僕も気になっていたので読んでみました。
明日から学校という状態で、昼過ぎにしてこれから読書感想文を書くということでやばいですね。
終わるでしょうか。。
娘の参考にさせるつもりはないですが、バッテリーの読書感想文をどう書いたらよいかわからない中高生も多いと思うので、僕なりに読書感想文を書いてみようと思います。
バッテリーの読書感想文を書く上での要点
バッテリーを読んでみて、思ったよりも読書感想文を書くの難しいなと思いました。
どうやって書けばよいのか、まずは要点をまとめてみようと思います。
スポ根・友情の小説ではない
バッテリーはスポ根(スポーツ根性)友情の大切さみたいなのを描いている本ではありません。
僕も読む前にはそういう本だと思っていました。
「がんばればどうにかなる」「仲間の大切さ」そんなことをテーマにされていたほうが読書感想文は簡単です。
でも、バッテリーはそこに焦点を当てていないんです。
野球もので人気のある本だからといって、読書感想文として読まずにそういう内容を書くと的外れになるので注意しましょう。
登場人物
バッテリーの登場人物は主人公の巧(たくみ)だけでなく、それぞれの事情をもった人物が登場します。
それぞれ立場や考え方があって、だれの感情にスポットを当てるかで見え方は変わってきます。
登場自分を確認してみましょう。
原田巧(はらだたくみ)
もうすぐ中学生になる主人公。ピッチャーで大人も打ち取るすごい球を投げられる。自信があるものの協調性がない。自分のことをわかってくれない大人にイラだっている。
永倉豪(ながくらごう)
キャッチャー。引っ越してきた巧と出会い、球を受けることができる。医者の息子であり周りのことをよく見ていて、配慮がある。
原田青波(はらだせいは)
巧の弟。小学4年生。生まれつき体が弱く、母親から心配されている。兄の巧をみて野球を始めたくなる。
原田真紀子(はらだまきこ)
巧の母。夫の体調不良により実家に帰る。高校で野球の監督をしていた父洋三とけんかをよくする。青波のことが心配で仕方がない。
井岡洋三(いおかようぞう)
巧の祖父。甲子園に何度も行く元高校野球の監督。野球ばかりで家庭を顧みなかったことを娘の真紀子に疎まれている。
原田広(はらだひろし)
巧の父。仕事ばかりの生活をしており、家庭を顧みていなかった。体調を崩し左遷され妻の実家で済むことになる。巧のことをよくわかっていない。
永倉節子(ながくらせつこ)
豪の母親。巧の母真紀子と幼馴染。医者の過程ということもあり、息子豪には野球をやめて勉強してほしいと思っている。
簡単なあらすじ
主人公・原田巧の中学入学を前に、祖父のいる岡山県新田市に引っ越してきた原田一家。そこで巧はキャッチャーの永倉豪と出会い、実力を認めてバッテリーを組むことになる。ピッチャーとして絶対の自信を持ち、誰に対しても強烈な我を通そうとする巧と、その才能に戸惑いながら強く魅かれていく豪。運命に導かれたかのように、最高のバッテリーとしての2人の人生が始まっていく。
バッテリーは全6巻からなる小説です。
第1巻は中学生になる前を描いており、まだ野球シーンも少ないです。
人間関係やそれぞれの考え、思春期の少年の心境などが中心に描かれています。
バッテリーの読書感想文を書いてみる
次から中高生になったつもりで、読書感想文を書いてみようと思います。
まるまるコピペはさすがにやばいと思いますし、そもそも僕の書く読書感想文が正しいこともないので、そういう視点もあるんだな程度にでも見てもらえれば幸いです。
とりあえず、読書感想文はあらすじだけを書いて終わりとなりがちですので、どこか書くべきポイントだけは絞って書いたほうがいいと思います。
1600~2000文字となるように書いてみます。
「バッテリー」あさのあつこ著の読書感想文例!
野球でいう「バッテリー」とは投手と捕手の組み合わせを指します。小説「バッテリー」を読む前の先入観として、投手と捕手を中心とした野球小説で、「努力することが大事」「一人ではなくチームで同じ目標を目指すことの大切さ」「好きなこと・やりたいことがあるすばらしさ」みたいなことがテーマなんだろうと勝手に想像していました。しかし、バッテリーが描いていることは逆でした。体が弱い主人公巧の弟の青波が「野球を始めたい」と言い始めるのに対し、母や巧は「無理だ」といいます。野球をやりたい思っている捕手の永倉豪に対して、豪の母節子は巧に対して「医者として勉強していくために野球をやめるよう言ってくれ」と頼みます。天才的だが協調性のない投手巧と周りをよく見ていて協調性の高い捕手豪を中心に、それぞれの環境や思いをぶつけていくその様子はとても人間臭くて、努力やチームワークといったことだけではないこの世界を描いている小説であると感じました。
最も印象的だったのは、巧が青波に「野球は無理だ」と言い放つシーンです。体の弱い青波は兄の姿を見ながら、野球をやりたいと思い始めていました。野球の練習に飛び入り参加してフライの球をとったことがうれしく、大切にしていたボールで青波と豪がキャッチボールをしていたとき、兄の巧が青波に対して「お前は体が弱く野球は無理だ。自分のようにはなれない」と言い放ちます。しかし、青波は「嫌だ。僕は野球をやりたい。兄のようになれなくてもいい、ただ楽しく野球がやりたいんだ」と答えます。「それ以上はやめておけ」と制する豪の言葉を聞かず、最後まで巧は「無理だ」と決めつけ厳しい言葉を青波に続け、青波は大切なボールを投げてしまうのでした。巧・青波・豪の心の葛藤を考えると胸が苦しくなりました。元高校野球の監督である祖父洋三から「楽しめる人はうまくなる」といわれたことや、母親から「人を巻き込んでしまう」といわれたイラ立ちを青波にぶつけてしまう巧の葛藤。楽しく野球をやりたいという気持ちを全否定される青波の葛藤。二人の気持ちをわかりつつ、巧を止められない豪の葛藤。それぞれの気持ちがわかる場面です。僕が巧だったら、青波だったら、豪だったらどのような行動をしていたかを考えると、心の葛藤を感じたと思います。人間には感情があって、すべてコントロールすることは難しいし、いってはいけないことでいってしまうことがあります。相手を傷つけてしまい後悔することや、イラ立って心の底にある言葉を吐き出してしまうことがあります。「がんばればうまくいく」みたいなきれいごとではなく、がんばっても難しいことはあるし、感情が先立って関係が壊れてしまうこともあります。思春期という言葉で片づけるのではなく、お互いの環境や過去を知っていると責めることもできません。ただ、言いすぎてしまった自覚や後悔を感じる巧に、こうやって人は成長していくんだろうなという兆しも見えました。僕も感情的になったり、いってはいけないことをいってしまったりすることが今後あるかもしれません。そんなときに、このシーンを思い出したいなと感じました。
バッテリーは天才的だが協調性のない投手である巧を中心に、周りの人や巧が少しずつ変わっていく小説です。その変化は非常に緩やかで、他人はそんなに簡単に変わらないという現実世界を映しています。他人は簡単に変えられないし、自分もまた簡単には変えられない。しかし、人と関わることで確実にその変化というのは現れていくことが伝わりました。特に周りによく配慮する豪の存在は大きく、周りに非常のよい影響を与えていきます。今後の巧と豪の関係がとても楽しみですし、周りを含めた変化も非常に楽しみです。僕も感情に左右されることがあると思いますが、それが人間であると再確認することができました。チームスポーツや人との関わりはいろんな感情がぶつかりますが、それが自分の成長につながるのでしょう。今後、人との関わりの中で相手の感情やバックグラウンドも考えながら、僕自身が人によい影響を与えられるようなかかわり方をしていきたいなと今考えています。
さいごに
「バッテリー」あさのあつこ著の読書感想文例を書いてみました。
意外と読書感想文を書くには難しい本だと書いてみて感じましたね。
まだまだここから続くという感じがしますし、実際に全6巻ありますから、ここから先に人としての成長やチームにおける個人というテーマも描かれていくと思います。
単純に小説としてはめちゃくちゃ面白いので、大人としても続きをとても読みたくなりました。
読書感想文は別として読んでみようと思います。
大人でも読むと面白いのでぜひ読んでみてください!
読書感想文を書く中高生の方は、誰の視点で見るかをイメージして頑張って書いてみてくださいね!