息子ひゃくまんさんが13歳になりました!
誕生日おめでとう!
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あっという間の13年でした。
今でも君が生まれてきた時のことは鮮明に思い出します。
ちょっと昔話でもしようか。
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君が生まれる日の前日・・
お母さんは実家にいて、出産予定日はまだ少し先だったんだ。
僕は金曜日の夜に友達と飲みに行っていた。
翌土曜日から、奥さんの実家に行こうと思っていたんだよ。
終電くらいまで飲んで帰ったら、家には当然1時過ぎ。
結構酔っぱらってたみたいで、ぐっすり寝てしまっていた。
そのころお母さんは朝方に破水といって、もう君が生まれる合図が始まったんだ。
りっちゃん(お義母さん)から僕に電話をしてくれた。
6時台、7時台に連絡をくれていたみたいだった。
そして、何回目かの電話で僕はようやく起きた。
「破水してもうすぐ生まれそうなのよ」
まさに僕にとっては寝耳に水で、半分夢の中だった僕は一気に目が覚めた。
「すぐに行きます!」
と少し二日酔いの頭と体を無理やり起こして、準備をして病院に向かったんだ。
病院に着くとお母さんはすでに出産準備の部屋に入っていた。
僕は二日酔いの顔色の悪い顔で登場して、お母さんに逆に少し心配されてしまったよ。
お母さんは腰が痛いといっていたけど、まだそんなに苦しそうな感じもしなかったから安心したことを覚えているよ。
同じ部屋に少し離れてもう一人、
少し片言の女性がいて、ひどく苦しんでいた。
「いたいーいたいたいいたいた」
痛みの周期があるらしく、痛さを訴えては落ち着いてを繰り返していた。
男の僕には女性の出産の痛みがわからないけど、耐えられない痛みらしいぜ。
おしりからスイカを出すことを想像してごらん。
考えただけで失神してしまうよな。
そんな痛さをお母さんは押し隠していた。
静かに「腰が痛い」という程度で痛みの周期がきても静かに耐えていたんだ。
強いお母さんだね。
それにしても片言の女性は本当に苦しそうで、どんどん声が大きくなっていった。
「もう無理―、帝王切開にして」
というくらいの痛み、僕には痛みが想像できないけれど、痛くてたまらないことは伝わってくる。
付き添いの男性も背中をさする程度しかできない。
僕もお母さんの手を握ったり、他愛もない話をすることしかできなかった。
こんなとき男ってのは本当に無力なんだ。
お母さんの痛みの周期も次第に短くなってくる。
看護婦さんが、周期が何分おきだかになったら分娩室に行きましょうねなんていっていた。
次第にその周期に近づいてくる。
出産予定日はもう少し先だったのに今日生まれることになるんだと思った。
出産というのは女性にとって本当に大きな仕事だ。
男にはとてもできない、本当に大変な仕事。
お母さんは痛いといわずに、静かに痛みに耐えていた。
そろそろ看護婦さんがいっていた周期に近づいてきた。
「分娩室に行きましょうか」
看護婦さんが誘導して、ゆっくりとお母さんが立ち上がる。
歩くことも辛そうだ。
僕が手を引いて、僕も分娩室の中にはいった。
君が生まれたときに僕も立ち会っていたんだよ。
分娩室の中・・
お母さんに助産師さんが呼吸法やいきみ方を伝えた。
波がきたらいきむように伝えられたんだ。
もうすぐ生まれるという状態から何時間も苦しむ人がいるときいていた。
お母さんは大丈夫だろうか。
僕も不安だった。
波が来る。
お母さんが力を入れる。
顔を真っ赤にして本当に痛そうだ。
でもお母さんは本当に「痛い」とは言わなかった。
僕はお母さんになんて声をかけたんだろ?
思い出せないな。
お母さんの手を握ってそばにいることしかできなかった。
また波が近づく。
お母さんが力を入れる。
助産師さんも声をかける。
「もう少し」
「もう頭が見えているよ」
お母さんが力を入れる。
「もう少し」
「がんばれ」
「がんばれ」
「がんばれ」
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「うんぎゃぁーー、うぎゃー」
君の声が聞こえた。
「生まれましたよ、おめでとうございます!」
なんでだろ?自然と涙がこみあげてくる。
お母さんが頑張っていたことを見てたからかな。
お母さんと君が元気でいてくれたからかな。
初めて君の声を聞くことができたからかな。
初めて君に会うことができたからかな。
お母さんのおなかの上に君がのせられた。
サルみたいにシワシワの顔だったんだよ。
お母さんも笑った。
僕も泣きながら笑った。
無事に生まれてきてくれてありがとう。
僕をお父さんにしてくれてありがとう。
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さて、こここからは余談。
僕はといえば二日酔いが残っていて、お母さんが出産して君が保育器に入っていた間すこし寝てしまっていたらしい。
これは今でもときどきいわれてしまうよ。
今日君は13歳になった。
背も僕とほとんど変わらない。
来年にはもう抜かれてしまうかな。
目標や夢を持って強く生きてくれ。
そしてお父さんより1日でも長く生きてくれ。
今日は誕生日おめでとう。
お父さんより。