今でこそ営業部長みたいな立場で仕事をしているけど、思い返せば仕事なんてめちゃくちゃ舐めていた。そりゃぁもう、チュッパチャプスレベルで舐めてた。
僕は今の会社に入社して営業職で1年、あまりの成績の悪さに技術職に転籍を命じられた。技術職はとにかくやらされ仕事で忙しかったから、真面目に働かざるを得なかったけど、もう一度営業職に戻されたときに、またサボり癖が再発していた。
たまたま新潟の営業がやめてしまったのもあり、新潟に4ヶ月ほど出張を命じられた。当時の社長が「悪いようにしないから」というから仕方なくいくことにした。
新潟は2月。雪の時期で仕事なんてほとんどなかった。そんなこともあってか営業先にあまり行く気にならないのと、仕事終わりの時間が孤独で退屈だったので、プレステ2とドラクエ8を買ったのだった。
ドラクエシリーズはやっぱり面白くてやり込み要素も多い。仕事が終わったらホテルでドラクエ。ハマり症だから、仕事中にホテルに戻ってドラクエしていることもあった。
気づいたらドラクエはとっくにクリアして、クリア後のやり込みをしていた。たったの2週間であんまりやることもないくらいに。プレイ時間をみたら100時間になっていた。
ココで僕は思ったのだ。
「あ、、俺やばいな。。」
何かトンデモナイ空しさみたいなものが僕のことをぶん殴った。この時間って僕にとって何か役にたったっけ?ドラクエクリアまでは確かに面白かったけど、クリアしたドラクエのレベル上げって何俺やってるんだろ?
何も残っていない。時間の無駄遣いでしかない。とかなりの自己嫌悪だ。
何か始めよう。何か成長につながることを。成長に繋がらないことをしていると僕は腐りそうだ。でも何を始めようか?んーーー本を読もう。
とにかく何でもいいから本を読もう。この決心はすごく堅い決心だった。
僕は週末に図書館に行った。図書館では東京の住所の免許証しかないのもあり、カードを作るのに難色を示されたのを覚えている。
だけど粘ってカードを作ってもらい、本を借りることに成功した。最初に読み始めたのは読書好きな友達から教えてもらった小説。宮部みゆきの本だったかな。教えてもらった本を読み漁った。
小説を読むことは少なからず僕の成長につながると思ったんだ。(今思うと小説ばかりってのはどうかと思うけど)
土日には借りれるだけ小説を借りて、仕事終わりに1冊。休みに配置に3冊の小説を読んだ。
しまいにはホテルに帰ってホテルで本を読むのが面倒くさくなって、図書館の駐車場で本を読んでいた。(図書館には車で行っていたからね。)
小説はマンガみたいなもので、あまり自分の成長に繋がっているかわからなかったけど、これまで活字にこんなに触れることはなかったのでよかったんだと思う。
とにかく活字に触れたかったし、本を読みたくて仕方なった。
すると不思議なもんで、仕事もなんだかやる気になってきたんだ。ちょうどすごく大きな仕事をゲットしたのもあってさらにやる気に。
そして、これまで最高レベルの大きな仕事を受注。全国から出張をしてもらって消化するレベルの仕事。
ここから僕の営業人生が始まったんだろうな。
成功体験が人を変えるってのは本当にある。
このきっかけになったのは仕事の運が良かったのもあるし、本を読み始めたのもあるけど、本当のきっかけはドラクエだったんじゃないかと思うんだ。
ドン底と思えるほどの大量の時間を使って、自分に絶望したことが僕の刺激になったんじゃないかって。
だからさ、キミもやる気が起きなかったり、目標を見失ったりしているなら、全力でゲームやってたらいいと思うよ。仕事も学校も適当にサボってさ。本格的に退屈や時間の無駄を感じるからこそ、前に進めることもあると思うんだ。
ドラクエを100時間やれ!さすればキミは本気で何かを始められるよ。